2022.12.18
全国の各保健所は、施設でPCR陽性者が出た場合、感染症法に基づき、積極的疫学調査として、濃厚接触者や接触者に対し、PCR検査を要請しています。ところが、当初PCR検査試薬は、医薬品医療機器法に基づく承認を受けていませんでした。
そこで、令和3年6月定例会一般質問において谷本議員が、令和2年9月から呉市で行っているPCRに使用しているタカラバイオ製検査試薬が薬事未承認だったことで、違法状態ではなかったのかと鋭く指摘した経緯があります。タカラバイオ製が承認されたのは令和2年10月27日だったことを踏まえての質問です。
それに対し呉市は、令和2年3月4日付け厚労省結核感染症課長による「PCR保険適用に伴う行政検査の取扱い」や、同省医療課長による「検査料点数の取扱い」を引き合いに出し、「新型コロナウイルス感染症患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として行った場合に限り、保険適用となる旨の通知がなされている」とした上で、「医薬品は、薬事承認を受けた後、保険適用となることが原則であるが、例外的に薬事承認を受けたものと同様の取扱いが認められているものと考える」と、独自解釈による誤魔化しの答弁をした経緯があるのです。
これらを踏まえ、この度谷本議員が、前段として、「学校や保育所、医療機関、介護施設等で行われて来た積極的疫学調査は行政検査と聞いているが、県が行っている大規模PCRも行政検査と言えるのか、そしてこれらは保険適用対象なのか」と確認しました。
答弁は下記です。
- 大規模PCR検査は行政検査ではない
- 積極的疫学調査は行政検査である
- 大規模PCRも積極的疫学調査によるPCRも保険対象外
このことにより、各都道府県が行っていたPCRや、保健所設置県市が実施していた積極的疫学調査によるPCRは、当初薬事未承認でしたので、令和2年3月4日付け厚労省通知の対象外であったことが判明しました。
これに対し、呉市当局がどのような言い逃れをするのが大変興味がありました。
その結果、下記答弁を引き出しました。
- タカラバイオ製の検査試薬は3種類ある
- 令和2年9月から呉市が使用していた2種類の試薬は、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル」や「試薬メーカーからの申請により同研究所が承認した検査方法」で認められ、研究目的の試薬だった
- それらは、検査に有効な試薬として、国が承認したものである
- 本市において、薬事承認済みの試薬は、令和3年5月10日から使用している
つまり、保険診療ではなかったことを否定せず、令和3年6月定例会での答弁が間違っていたことを暗に認めた格好です。
加えて、タカラバイオ製の場合、令和2年10月27日に医薬品医療器総合機構が承認したのであって、国立感染症研究所や国の承認という、新たな疑問が浮き上がりました。根拠条項を追跡調査する必要があります。
そして何よりも、当初使用していた2種類の試薬は、研究目的だったことを自ら認めた訳で、それで陽性反応を示した人を「感染症患者」のレッテルを貼り、隔離して人権を侵害し、市民に対し恐怖を煽ったことになります。元々、PCR検査試薬全ての注意書きに「ヒトや動物の診断に使ってはならない」と記載されており、ここから根本的矛盾が生じているのです。
百歩譲って、これらが保険適用であったとしても、薬事未承認段階で検査をしていたことは、呉市に限らず全国自治体も同罪ですので、薬機法違反である可能性は極めて高いと言えましょう。
因みにPCR検査試薬で、最も早く薬事承認されたのがシメックス製で、令和2年3月27日となっており、少なくとも各都道府県が実施していた、無症状者を対象とした大規模PCR検査は、薬事承認する前段階において、薬機法違反になると考えています。