2022年参院選の総括と今後の展望

2022参院選

2022.07.19 自然共生党代表 谷本誠一

 去る7月10日投開票の第26回参院選は、安倍元首相襲撃事件の影響もあり、与党の大勝利に終わりました。メディアは、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高対策を争点に位置付け世論操作をして来ましたが、その実、真の狙いは憲法改正にあったのです。
 改選前から、国民民主党が改憲勢力の仲間入りをしたことで、既に衆議院に続き、参院でも改憲勢力が発議に必要な2/3を超えていたのです。即ちこの度の3増により定数が248議席となり、自公維新の154議席に加え国民を加えると169議席となって、改正案発議の最低要件である166議席を3議席上回っていました。
 それが今回の結果で、自民が5議席増、公明が1議席減、維新が6議席増、国民が4議席減となり、改憲勢力は合計6議席増で175議席となりました。ということは、国民民主党が本来の野党の役割を果たし、自民党改憲草案に反対したと仮定しますと164議席となり、発議要件の166議席に僅か2議席不足することになります。
 但し衆参両院においては、今回の状況を見越して既に憲法審査会を設置しており、今後議論が加速化することは火を見るより明らかです。
 一方、振興勢力と言われるれいわ新撰組は山本太郎代表が東京選挙区で最後の議席を確保し、比例区の2議席を合わせて3議席に躍進。NHK 党はかろうじて比例で、海外在住YouTuber ガーシーこと東谷義和候補が1議席を獲得し、弱小勢力に成り下がった社民党の福島瑞穂党首は、比例でぎりぎり1議席確保と滑り込みました。注目を浴びていた参政党は、選挙後に副代表兼事務局長に就任された神谷宗幣候補が、比例で見事1議席をゲットしました。同党は国政に初挑戦ながら、SNS を駆使し、有名人を擁立したこともあって、比例で173万票を得たことは、予想に違わず大健闘と言えましょう。
 但しSNS、特に最も発信力のあるYoTube が動画を抑制するどころか、掲載順位を上位に操作した節が伺われ、背後に重大な意図が隠されていると言わざるを得ません。
 何故なら、私が過去発信して来たYouTube「自然共生党チャンネル」において、反コロナを目的とした呉市議会本会議や予算委員会における公式発言でさえ、一部が削除されていたことがこの度判明したからです。しかも、削除を免れた第6回「PCR 検査の実効性」と題した昨年3月定例会における一般質問では、当初4万件を超えるアクセスがあったはずですが、現在は6千回弱に偽装される操作がされていたのです。加えて、アルゴリズム設定により、優先順位が意図的気に落とされ、検索上位に上がって来ないようにされている節があるのです。
 この様に、ビッグテックの背後に資本投下している国際金融資本の意に反する言論は、世論が覚醒しない様、水面下で巧妙に誘導されているのです。
 そこで、新興勢力における憲法に対するマニフェスト等を見てみましょう。れいわは護憲、NHK は改憲、参政は自民党改憲草案の緊急事態条項には反対するものの、総じて改憲派です。もし単純にNHK 党と参政党を改憲勢力とカウントすれば、改選前の議席を加え、各々2議席と1議席の計3議席を加えることで167議席と発議要件の166議席を1議席上回ることとなります。つまり、本来改憲勢力ではなかった国民民主党を入れなくても発議要件を満たすことができるという訳です。但し、参政党は緊急事態条項に対し明確に反対を表明しておりますので、これを差し引いたとしても166議席と、きっちり発議要件をクリアできるのです。
 では、自民党改憲草案でのポイントは何でしょうか?ちまたでは憲法9条の2を追加することで自衛隊を国防軍に昇華させ、総指揮権を内閣総理大臣が有するという内容が注目を浴びる様、メディアが意図的に世論操作して来ました。
 ところが、真の狙いはそれよりも、草案98条と99条による緊急事態条項新設にあったのです。これは、現行憲法下による新型インフルエンザ等対策特別措置法に依拠する緊急事態宣言とよく似ているようでも中身は全く異なります。戦争に巻き込まれたり、南海トラフのような大規模地震が発生したり、新型コロナウイルス感染症のような医学パンデミックが発生した場合に内閣の一存で緊急事態を宣言し、内閣総理大臣に強力な権限を集中させ指揮を執るというものです。この間立法権は停止、私権は制限され、法律に代わって内閣が発令する政令で国民を縛ることができます。いわば旧ワイマール憲法下でナチスドイツが独裁政治を行ったことが可能になるのです。つまり「戒厳令」という訳です。
 しかも同草案には、現憲法における97条「基本的人権は永久の権利」条項が削除されているのです。これは戒厳令下に入ると、基本的人権は尊重されないことを意味します。そうなれば、オーストラリアや欧州各国で起こった様に、ワクチンを接種しなければ職場を解雇されたり、マスク着用が義務化されたり、ロックダウン下での自由な移動もできなくなる可能性が極めて高まります。
 更に現行憲法99条では、天皇や公務員に対し憲法尊重義務が課されているのに対し、改憲草案102条ではそれが削除され、国民が憲法に直接縛られることになっているのを見逃してはなりません。本来憲法というのは、国家権力の暴走を抑止し縛るものであるはずですが、自民党改憲草案は正に全体主義に向かわせる内容となっていることに気付いて欲しいのです。
 従いまして今回の参院選では、この緊急事態条項を伴う改憲の企みを、メディアが政府と協力して争点隠しをしたと、私は観ています。
 今後の焦点は、自然共生党として反コロナを主張する僅かな護憲勢力と力を結集し、国民啓発に力を注いで参る覚悟です。ご指導、ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。
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