2022.08.30
この必要な感染予防策については注釈があります。即ち、
- マスク着用の有無
- 鼻出しマスクや顎マスク等マスク着用が不適切な状態
を確認すると記述されていました。
これでは、クラスの児童生徒がPCR陽性と判明した際、ノーマスク児童生徒は、1m以内15分間以上の接触の事実があれば、即刻教員から濃厚接触者と特定され、保健所が追認することになるのは目に見えています。つまり、ノーマスクや不適切なマスク着用者が必要な感染予防策を採っていないと安易にみなされるのです。
実は、去る6月21日に同じ文科省健康教育・食育課が発出した、「学校における新型コロナウイルス感染症対応に係る留意事項(学校コロナ留意事項)」には、濃厚接触者の特定に関し必要な感染予防策にマスク着用を入れておらず、大きな矛盾を露呈した結果となったのです。
その原因は、同課発出の衛生管理マニュアルでは、マスクは必要な感染症対策と位置付けているからです。ここが根本的に間違っているのです。
この留意事項では、別紙として6月20日付けの厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部発出の「小児の新型コロナウイルス感染症対策」が添付されています。その中の「子どもの濃厚接触者の特定(3月16日付け事務連絡)」について、「マスクを着用していないことのみをもって一律に濃厚接触者を特定するのではなく」と記述されています。
つまり、厚労省による子どもの濃厚接触者の特定に関しマスクは無関係として、それを引用通知した文科省が、今回は、「マスクの有無が濃厚接触者特定に直結する」と、間違った通知を出したことになります。
そこで昨日8月29日、自然共生党代表の谷本誠一呉市議会議員が、文科省健康教育・食育課の担当者に直接電話し、その矛盾についての説明を求め、抗議しました。
彼は、最初矛盾していないと答弁。その理由は、どちらも、マスク着用が濃厚接触者とイコールになっていないというものです。
これには議員が猛烈に反論。濃厚接触者の定義は、国立感染症研究所が
- 1m以内
- 15分以上接触
- 感染者が発症する2日前に遡る
と定義していますが、この前提条件として「必要な感染予防策を採ることなく」としており、8月19日付け同課発出の学校コロナガイドライン3頁には、①~③を満たしていれば、ノーマスク等は濃厚接触者とすると読み取れます。厚労省見解は、①~③を満たしていても、換気や手洗い等の感染予防策をっていれば、マスクの有無は関係なく、濃厚接触者にはならないのです。天地の違いがあります。
これでは、折角5月23日に内閣官房が新型コロナ対策基本的対処方針を変更した際の、25頁「本人の意に反してマスク着脱を無理強いしない」にも悪影響を及ぼし、有名無実化してしまいます。つまりノーマスク者に、校長等が厳しい目を注ぐことになり、マスクを勇気を出して外したい児童生徒や保護者への足枷になり、校長や教育委員会の逃げ口上に使われてしまうのは、火を見るより明らかなのです。
そもそも、厚労省による7本の感染症対策には、マスク着用は入っておりません。その一つに位置付けられているのは咳エチケットに過ぎず、急遽咳やくしゃみが出る際には
- ハンカチで口を覆う
- 袖で口を覆う
- マスク着用
の3択どれでもいいのです。
しかも
- マスクは汚れている
- マスクは症状のある方が着けるもの
- マスクは飛沫を防ぐ効果はあるものの、新型コロナ感染症予防効果は期待できない
ことが記載されていたのです。
これらは裏返せば、「症状なき方にマスク着用は必要ない」と読める訳です。
つまり厚労省は、感染症対策の元締めである内閣官房を忖度して曖昧な表現を使い、文科省は科学的知見を有しない内閣官房の従順なイエスマンであって、当初から閣内不一致なのです。
同課担当者は、谷本議員の話を全て聴いてはくれ、理解はしたようです。しかも、反論は一切できませんでした。そこで、「このような意見があったことは(上司に)伝える」とは言いましたが、文科省が自らの間違いを素直に認めるはずはありません。せいぜい学校コロナガイドラインを次回改定する時に合わせ、濃厚接触者特定要件にマスクチェックを外すよう強く要請したところです。
尚、このままでは学校現場に大混乱を来たし、ノーマスク学校生活宣言運動に、大きな悪影響を及ぼすことが想定されます。ノーマスク者は、厚労省による濃厚接触者の定義をきちっと把握した上で、引き続きこれら理不尽と戦って参りましょう。