2022.11.09
自然共生党代表の谷本誠一呉市議会議員が、1階ロビーでチェックインすると、受付スタッフ嬢が感染症対策協力のアンケートへの記入を求めて来ました。中身を見ると、PCR検査を受けているか、陽性かどうかとか、コロナワクチンを接種しているか等を聴く内容となっています。「これは個人情報だから記入しませんよ」と告げると、「条例で定められていますから」と言います。
そのような条例が川崎市にあるとは思えないので「それを見せてくれ」というと、結局見せてくれませんでした。恐らく感染症対策の協力を求める条例は愛知県の例であり得るのですが、それを義務付ける条項は、そもそも感染症法第4条や新型インフルエンザ等特措法第5条に違反するため、あるはずがないのです。
それらは、国民の責務として、感染症対策への協力を努力義務とする一方、それ故に「人権が損なわれてはならない」との義務規定があるからです。協力への努力義務より人権尊重の義務が上位です。これは憲法第11条の基本的人権から来ています。もし、条例を見せられたとしても、論破する自信がありました。
そこで今度は、上司の女性スタッフに引き継がれ、一転「我がホテルグループのルールだ」と言います。「そのようなルールは法律違反なので無効ですよ。社長に直接繋いでくれ」と返すと、支配人に電話して指示を仰いでいる様子。結局「既に契約してお金も払っているのだから、泊めざるを得ない」との指示があったようでした。
旅館業者は旅館業法第6条第1項により、宿泊名簿を揃えることは知っていますので、これには当然記入に応じています。ところがそれ以上の個人情報を記入することは書かれていないのです。
また、同法第5条には「正当な理由がなければ宿泊拒否をしてはならない」と定めています。正当理由の一つとして同条第3号に「都道府県が条例で定める事由があるとき」となっており、これが川崎市条例若しくは神奈川県条例に該当する可能性があったのかも知れないですが、その条例が感染症法や特措法に違反していれば、無効となるのです。ルールより条例が上、条例より法律が上、法律より憲法が上なのです。これは憲法第98条に「憲法は最高法規である」としており明かです。
恐らく、条例根拠を現場スタッフが提示できなかったので、面倒くさいので我が社グループのルールだと主張して来たものと推察されます。
ようやく宿泊できたと思いきや、一難去ってまた一難。翌朝、レストランでの出来事の付録が付いて来ました。今度は給仕係のご婦人が、「お客様、料理を取る際は衛生上の観点から手袋をして下さい」と、よくある光景です。これも「強制か?」と聴くと「お願いです」と、マニュアル通りの回答。つまり官民どこに行っても、「お願いという名の強制」をしているのが、我が国の実態なのです。法的に義務付けされていないことや相手の嫌がることを、執拗にお願いすれば、これは強要になります。具体的には刑法第223条強要罪に該当する恐れが多分にあるのです。これは例え未遂に終わっても刑は成立します。3年以下の懲役が定められています。
ということで、この強要を蹴散らしました。給仕の女性は、受付カウンター嬢にこのことを報告したようですが、昨晩のできごとがあるので、何事もなく配膳をノー手袋、ノーマスクで終えることができました。
ここで思ったことは、この度に限り、よくあるマスクの強要は一切なかったということです。これは、10月14日付け厚労省新型コロナウイルス感染症対策本部が発出した「本人の意に反してマスク着脱を無理強いしないよう、丁寧な周知をお願いします」とのいわゆる「マスク警察禁止」文言が伝わっている効果かも知れないと実感しました。
一方、今回はこれで収束しましたが、現在臨時国会に提出されている旅館業法改正案が成立しますと、これでは終わりません。つまり、感染症対策に関し、この度のような押し問答があった場合は、ホテル側が警官を呼び、宿泊拒否が堂々と可能になる危険な法案だからです。
よって、快適な旅をするためにも、この改正法案を絶対通してはならないのです。人権を抑圧する違憲立法だからです。