2023.4.29
第1、2回共、裁判長は冒頭でマスク着用を法廷内で求めて来た経緯がありますが、さすがにこの日は、政府による「マスク着用は個人の判断」が示されたのに伴い、マスクに関しての言及はありませんでした。但し、裁判長他2名の判事全員がマスク着用で法廷に臨まれました。
この日、初めて被告たる釧路警察署の代理人弁護士が欠席。主たる被告のAIRDO社の代理人弁護士3名が着席して開始となりました。
去る3月31日付けで同代理人から提出された準備書面では、原告である谷本誠一呉市議会議員が前回提出したAIRDO答弁書への反論書に対する再反論。ところがその中身は、下記のお粗末な主張の繰り返しとなりました。
- 原告は社会的利益を逸失しておらず、損害は被っていない。
- 社会的信用を低下させたのは、メディアの報道が主たる原因であって、AIRDOとは関係ない。
- AIRDOは降機命令を下していない。
- AIRDOは定期航空協会等が定めたガイドライン、自社が策定した運送約款に基づき粛々と行動したのであって、その限度を超えておらず正当な行為であった。
それに対し、原告たる谷本誠一呉市議会議員は、それへの反論という形での準備書面を、「証人尋問要請書」と題し、予め4月8日付けで提出していたのです。
その概要は下記の如くです。
- 旅客事務所上席ら、機長への証人要請
AIRDOによる答弁書には、搭乗手続きの川口祐賀子ら女性係官が何度も旅客事務所の上席らに指示を仰いだことになっていますが、「上席ら」という複数に責任転嫁し、曖昧にしています。
上席らとは一体誰なのか?どのように機長に指示をしたのか、明らかにする意味で、証人尋問を求めました。 - 草野社長、基地長代行への証人要請
AIRDO草野社長は、原告と同乗しノーマスクを理由に共に降機に追い込まれた高橋清隆氏(反ジャーナリスト)による公開質問に対し、命令書の交付は基地長代行の判断だったこと、同社の運送約款に基づく事実上の降機命令だったと文書回答(証拠提出済み)しています。ここに被告の主張と矛盾があり、被告のいう上席らと基地長代行との関係を明らかにする必要があり、両者の証人尋問を求めたものです。上席らと基地長代行は同一人物の可能性が濃厚です。 - 警察官、高橋清隆氏への証人要請
AIRDOと釧路警察署警察官が共謀して、降機に追い詰めた可能性を否定できないため、
警察官の認識を糺す意味で、証人を求めました。
警察官が降機命令書ではないことを解った上で、あたかも降機命令の如く偽装したのか、それとも降機命令書と思い込んでいたのか、明らかにするためです。
警察官の言動により、降りなければ公務執行妨害で逮捕される危険性があったことで、原告らは自主的に降機したに過ぎません。
加えて、原告と一緒に被害を被った高橋氏に証人を求めたことは、原告の主張の正確性を高めるためにも必須です。 - 乗客が撮影した動画の証拠提出要請
また草野社長は、原告らは大声を出し、威嚇したとか、写真を撮影したとかが、安全阻害行為に当たると回答し、この度の準備書面においても、その主張を踏襲しています。
過去の反論書でも言及していますように、大声を出したら、他の乗客に気付かれ、事が大きくなり、政治家の立ち場が揺らぐ恐れが多分にあるため、そのようなことを原告がするはずがありません。
警察官とのやり取りで、乗客が後部席の原告らに気付き、その様子を動画撮影し、それがメディアに提供され、報道されました。その際は敢えて無音にされていますが、その音声動画を証拠として提出を求めました。そうすれば、大声で威嚇していなかったことが白日の下に晒されるに違いありません。 - 国土交通省危機管理室への証人要請
往路であった2月4日は羽田発中標津ANA便に5名で搭乗しました。
その全員がノーマスク搭乗の際、保安検査場で見送り人Bが女性だったことから捕まり、詰問を受けています。おかげで15分程度、原告らを含む他の4名は、待たされました。
そこで原告は、余りに理不尽た対応が現場でまかり通っていることに立腹し、待合所から国土交通省航空局危機管理室に電話しています。その内容は、「健康上の理由ではなくノーマスクで搭乗できないのはおかしいではないか?」との抗議でした。電話口に出た杉山氏(男性)は、上司に確認を取った上で、中標津空港到着後に回答されました。それは、「健康上の理由がなくマスクを外しても飛行機に搭乗できる」という回答だったのです。
原告は「帰りの釧路発便で、今回のようなノーマスクを咎める事件が発生しないよう、航空会社を指導しておくように」と、強く釘を刺して電話を切ったのです。
因みにこの録音は、当時AIRDOに後から乗り込んで来た業務委託先たる三ツ輪エアサービスの福田係員は聴いておられます。
ということは、原告らが釧路発の便で帰ることは、同省からすれば、容易に調査ができたはずです。この辺り、予めAIRDOにその旨が伝わっていた可能性を否定できません。
このような経緯から、杉山危機管理監の証人を求めたのでした。 - 定期航空協会がガイドラインを変更した科学的根拠
定期航空協会が、去る3月13日付けで、ガイドラインを見直しました。去る2月10日の新型コロナウイルス感染症対策本部(内閣官房)発出の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の23頁に、「マスクを着用するかどうかは、個人の判断に委ねることを基本とし、本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう周知していく。」と記述されたからです。
この記述に関連して、政府は未だに、マスク着用が新型コロナウイルス感染症予防に効果があるとのエビデンスを提示できていません(訴状添付資料参照)。つまり、法的根拠は勿論のこと、科学的根拠のなきマスク着用をこれまで事実上、国民に強いて来たのです。 それが一転、個人の判断とは?最初から個人の判断だったのです。それを定期航空協会が国を忖度して、人権侵害の元となるガイドラインを策定し、事実上マスク着用を強制して来たのです。国交省は、この強引な協会の手法を見て見ぬふりを貫いて来ました。それは、政府の一機関として、全国民にマスクを着けさせ、あたかも存在が証明されてもいない新型コロナウイルスが蔓延しているように見せかけようとしたのです。
実は、これらには科学的根拠は皆無なのです。つまり、全てが政府の思惑に嵌めた政治的策略だったという訳です。定期航空協会の違法、違憲のガイドラインを、見て見ぬふりをした国土交通省は、不作為という憲法違反を侵したのです。
これらの内容を含んだ口頭弁論でしたが、実際は、原告がこれらを読み上げたり主張したりする場面は許されず、僅か6分20秒で終了しました。
しかも、原告による証人尋問、証拠採用要請に対し、3人で協議するため、一旦退席した裁判長らが、僅か46秒で戻って来たのには、傍聴人、記者も驚かされたでしょう。つまり、結論在りきで、アリバイ作りの協議だったのは明白です。
その結論とは、「証人尋問も証拠採用も認めない」「これにて結審する」という冷酷極まりない判断だったのです。原告はすぐに裁判長に発言を求め、「不採用理由を明らかにするべき」と訴えました。それに対しても、「もう決まったことだから、どうしようもない」「反論があるなら、判定言い渡しを聴いてからにして欲しい」と突っぱねたのです。
このような審理に重要な要素である証人尋問と証拠採用が不要とは?これは現憲法下による民主主義なのか?三権分立は機能していない!と痛感させられました。つまり、AIRDOや定期航空協会の背後には国土交通省を初めとした国家権力の影がちらつき、それを忖度し、服従するのが司法であると言わざるを得ません。
直後の記者会見には、傍聴した1社が途中から参加したものの途中退席。これは原告が記者クラブに予め文書で告知していたものの、それを知らされていなかったため、記者が他の予定を入れていたことが判明。最初から報道しない姿勢を、マスコミとして談合していた節が窺われます。
谷本原告は、これらの内容を詳細に述べ、高橋清隆氏も鋭い見解を指摘しつつ補足されました。
次回の判決は、原告の予想として、他のマスク拒否議員である北海道白糠町議会福地裕行議員と同様、訴えは却下、1円の損害賠償は棄却されるものと推察。そうなれば、弁護士を立てることも視野に入れつつ、控訴する決意を表明しました。