2023.5.15
この改正案は、旅館やホテル経営者がマスク着用や趣旨消毒等の感染症対策に応じない者に対し、宿泊を拒否できる内容となっており、人権侵害が現場で起きることの懸念を伝達したものです。
谷本氏は議員だった昨年9月から、日本根本療法協会会長の杉田穂高同党顧問と共に賛同署名の募集を開始。開始早々、利用した大手電子署名サイトのChange.orgから署名運動を妨害されました。それでも独自の電子署名システムを構築した上で、再度署名募集に至った経緯があり、1,154筆の賛同を集め、提出に至ったのでした。
厚労省担当官の説明は次の通りです。
- 改正法では、「特定感染症」の蔓延時としており、1類、2類、新型インフルエンザ等感染症のみ。
- 症状なき場合は対象外。症状がある場合でもマスク着用等、協力を求めるに留めている。
- 症状がある場合でも正当理由があれば対象外。正当理由の事例は今後ガイドラインで定める。
- 旅館やホテル業者に研修受講の努力義務を課している。
これらは、改正法の内容に問題なしとする厚労省側の言い分です。これに対し、谷本発起人は、下記内容で反論しました。
- 現在、新型コロナウイルス感染症が5類で対象外となったが、また新たな2類以上の感染症が蔓延した場合、宿泊拒否が堂々と行われることになる。
- 症状がない場合でも、宿泊業者から特定感染症にかかっていないとの陰性証明や医師の診断書等を求められた場合、それに対応できなければ、宿泊を拒否される懸念がある。
- 新型コロナに関する過去の経験から、マスク着用の有無に関し、受付カウンターでトラブルに巻き込まれたことがあるが、そうなると堂々と警察を呼ばれ、宿泊を拒否される。
- 正当理由の線引きをガイドラインで定めたとしても、宿泊業者や現場職員の裁量に委ねられ、差別の温床となる。
- 研修受講の努力義務を課したとしても、義務ではないのだから、受講しない業者は多々出て来るし、受講者から現場職員に伝達し切れないから、効果はほぼ期待できない。
結局この改正案は、思想・信条からマスク着用や手指消毒を行わない者に対する、差別となります。即ち、憲法第11条/基本的人権、第12条/自由と権利の保障、第13条/幸福追求権、第14条/法の下の平等、第18条/奴隷的拘束の禁止、第19条/思想・良心の自由、第21条/言論、表現の自由、第97条/基本的人権永久権-に違反することは明白なので、この内容を嘆願書に盛り込んでいます。
これらを踏まえ谷本発起人は、昨秋の臨時国会に初提出され、現通常国会において継続審査となっている同法案の撤回を強く要請しました。
担当官は、この度のやり取りを上司に伝達し、部署内で共有を図るとの守りの答弁に終始しました。
尚、去る昨年10月21日は、衆議院第一別館において、超党派による2つのハンセン病関連議員懇談会の合同総会が急遽開催。厚労省担当官を呼びつけ、ハンセン病関連団体も出席し見守る中、同法改正案の問題点を浮き彫りにしています。谷本発起人は、この会合にも馳せ参じ、総会終了後も法案反対の立ち場から意見を述べていました。
議員らが所属政党に持ち帰り、同法案の廃案へ向けての動きも期待しているところです。