2024.2.3(土) 大人の社会學「外資に狙われた日本農業に警鐘鳴らす!自然種苗の復権を」

行事報告

2024.2.4

 昨日2月4日は、広島市内で行われた第4回大人の社会學。テーマは「外資に席巻される農業危機」、講師は谷本誠一自然共生党代表です。

 第1部は、種子法廃止と種苗法改正における政府の狙いについて解説しました。

 種子法は、日本古来の米、麦、大豆等の穀類を国が責任を持って保護し、農民に提供するもので、戦前の食糧不足を踏まえてのものです。
 政府からの交付税措置を受けた都道府県が、農業試験場やジーンバンクを開設し、それを推進して来ましたが、2017年度末を以て廃止され、交付税措置がなくなりました。それに反発した24道県が、種子法に変わる種子条例を制定し、道県が国に成り代わって独自に財政措置する担保を獲得したのです。
 実は、その背後に隠れていた2018年5月12日に成立した、農業競争力強化支援法が曲者でした。これは都道府県による種子に関する知見を外資を含めた民間企業に解放するというものです。これで大手外資が資金力に物を言わせ、国内進出が容易になります。 そして極めつけは2020年12月2日に成立した種苗法改正です。これは、農民の権利である種苗の自家採種や自家増殖を事実上禁じるもので、2022年度から施行されました。これまで主に25年間に亘って開発者に付与されていた育成者権(特許権)消失後も、農民には解放されません。これでは、毎年農民は種苗を企業から買わなければならず、その際、系列企業の化学肥料や農薬でのセット購入を義務着けられたり、外資の奴隷化が進む恐れが多分にあります。

 第2部は、戦後の慣行農法がいつのまにか、化学肥料と農薬を使用することが当たり前になったことへの問題です。これは敗戦後GHQによる、火薬で用いていた窒素を化学肥料に転用して、それを売りつける目的があったのです。
 ところが、そうすると土壌内の微生物や菌根禁止が死滅し土地が痩せるため、、自然分解が進まず、生物が病気になったり、害虫に侵され易くなってしまいます。逆に土壌にに不足した栄養分を補うため雑草が生い茂るようになりました。
 そのため、殺虫剤や除草剤が開発され、農協法制定と相まって、その仲介業を農協が担うことになったのです。
 化学肥料を使うと作業が簡易化され、発育も早くなり、収益も向上するので、農家はこれを慣行栽培として止められなくなったのです。
 また、植物の優生学とも言えるメンデルの法則を利用した一代限りの交配種F1が流行し出しました。従来の固定種を扱って来たタネ屋も、需要に応じてF1種を主に販売せざるを得なくなったのです。現在スーパーに並んでいるのは、ほぼF1と言っても過言ではありません。品種の個々で形や大きさにばらつきがあったものが、均一形状になるため、出荷に適してはいますが、味はかなり落ちました。

 第3部は、新手の品種改良である、遺伝子組み替えとゲノム編集技術の登場です。
 遺伝子組み替えは、他生物種の遺伝子を組み込むことにより、寒さに強くなったり、農薬に強くなったりするもので、日本では商業用栽培はしていませんが、研究はかなり進んでいます海外からは8品種が農水省の登録許可により輸入されています。
 アメリカでは遺伝子組み替え作物(GMO)普及と同時に、癌、白血病、アレルギー、自閉症等が多発し、スーパーではオーガニックコーナーを設けざるを得ないほど、GMOが危険視され、消費者の意識が高くなっています。

 これに比べ、我が国の食品安全委員会は、非GMOとの有意差は見られないとして、問題なしとの立ち場を採っているのです。
 またゲノム編集とは、遺伝子配列を酵素を注入することで、一部を狙って切断したり、そこに新たな遺伝子を挿入し変異させる技術です。日本では、自然界でも突然変異は出現するので問題ないとし、農水省への届け出だけで出荷が可能となっています。このため、食品表示の対象外となり、消費者へ選択権が奪われてしまっているのです。我が国では2020年に初ゲノム編集たるトマトが流通開始されました。
 ところが、EUやニュージーランドでは審査対象となっており、未知の分野と言えましょう。 
 更にゲノム編集技術の一環として、放射線を照射して人為的突然変異を起こさせる放射線育種が登場しました。変異の中から、人間にとって有用な新品種を選択するという手法です。これによって誕生したのが、「コシヒカリ環1号」で、政府の特殊法人・農研機構が開発しました。
 それを奨励品種である「あきたこまち」と掛け合わせ、採れたタネを「あきたこまち」と7回交配して作ったのが、「あきたこまちR」なのです。これが2025年度から秋田県では、県の施策として、「あきたこまち」の代替として作付けして行くことになりました。
 これが流通すれば、全国の農業試験場にある「あきたこまち」にも連鎖することが予想され、固定種文化の崩壊を招くことは必定です。
 このように、農業における品種改良技術は日進月歩ですが、その背後には外資の参入障壁を低くし、我が国の食料自給率を下げることによる兵糧攻めが狙いと言わざるを得ません。我が国の食料安全保障の危機なのです。

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